
キュービクル撤去費用の相場は、一般的に20万円〜100万円程度ですが、設置場所やPCBの有無によって数倍に跳ね上がるケースもあります。
キュービクル撤去費用の仕組みは複雑ですが、正しい知識を持てば適正価格での処分が可能です。
キュービクル撤去費用を安く抑えるポイントは、以下のとおりです。
- ポイント①PCB含有の有無を事前に調査してリスクを回避する
- ポイント②複数の専門業者から相見積もりを取り比較検討する
- ポイント③製造年式が新しい場合は買い取り査定を依頼する
この記事では、キュービクル撤去費用の目安と内訳や、業者選びのポイント、スムーズな撤去工事の流れまでを解説します。また、よくある質問も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

キュービクル撤去費用の目安と内訳
キュービクルの撤去費用は、「一律いくら」と断言できるものではありません。設備の容量(KVA)や搬出経路、クレーンの使用可否、PCB(ポリ塩化ビフェニル)の有無が大きく影響するためです。ここでは、具体的なシチュエーション別の費用事例を紹介します。
費用①小規模施設・屋外設置(PCBなし)のケース
費用を抑えられる標準的なケースですが、費用相場は20万円〜40万円です。
費用の詳細は、以下のとおりです。
◆小規模施設・屋外設置(PCBなし)の費用詳細
| 項目 | 概算費用 | 備考 |
| 撤去工事費 | 10万円〜 | 人件費、工具損料など |
| 重機回送費 | 3万円〜 | ユニック車などの手配 |
| 運搬処分費 | 5万円〜 | トランス、筐体等の処分 |
| 諸経費 | 2万円〜 | 手続き代行、交通費など |
駐車場などの平地に設置されており、クレーン付きトラック(ユニック車)が横付けできる場合、作業効率が高くコストは安くなります。
費用②ビル屋上設置・大型設備(PCBなし)のケース
ビルの屋上に設置されている場合、大型クレーン車での揚重作業が必要になるため、費用は50万円〜100万円が相場の目安です。
道路使用許可の取得や、警備員(ガードマン)の配置が必要な場合もあり、その分費用が加算されます。
費用の詳細は、以下のとおりです。
◆ビル屋上設置・大型設備(PCBなし)の費用詳細
| 項目 | 概算費用 | 備考 |
| 撤去工事費 | 20万円〜 | クレーン作業員含む |
| 重機回送費 | 15万円〜 | 大型ラフタークレーン |
| 道路使用許可 | 3万円〜 | 警察署への申請手数料等 |
| 警備員費 | 3万円〜 | 交通誘導員2名など |
| 運搬処分費 | 10万円〜 | 重量に応じた処分費 |
こうした付帯業務や人員配置が必要となるため、地上設置のケースに比べて費用が高額になる傾向があります。
費用③地下室設置・PCB含有ありのケース
地下室設置・PCB含有ありの場合、費用相場は100万円〜300万円以上となり、高額になる傾向があります。
高額になる理由として、地下からの搬出は重機が使えず、解体して手運びする必要があるため、多大な人件費がかかります。
さらに、絶縁油にPCBが含まれている場合、通常の産業廃棄物として処理できず、専門機関での高額な処理が必要です。
費用詳細は、以下のとおりです。
◆地下室設置・PCB含有ありのケースの費用詳細
| 項目 | 概算費用 | 備考 |
| 解体搬出費 | 50万円〜 | 手作業による解体・搬出 |
| PCB分析費 | 3万円〜 | 含有濃度の分析 |
| PCB処理費 | 数十万円〜 | 濃度・重量により変動 |
| 収集運搬費 | 10万円〜 | 許可業者による特別運搬 |
また、PCB廃棄物の処理については、環境省のガイドラインに従い、適正に処理する必要があります。高濃度PCB廃棄物の処理期限はすでに終了している地域もありますが、低濃度PCB廃棄物の処理期限は令和9年(2027年)3月31日までとなっています。
参考:ポリ塩化ビフェニル(PCB)早期処理情報サイト|環境省

キュービクル撤去費用を安く抑える3つのポイント
撤去費用は業者任せにすると高額になるリスクがあります。以下のステップを踏めば、無駄な出費を抑えられ、適正な価格で工事を依頼できます。
ポイント①PCB含有の有無を事前に調査してリスクを回避する
見積もり依頼の前に、トランスやコンデンサの銘板に記載されている製造年を確認して、メーカーのウェブサイト等でPCB使用機器に該当するかを照合しましょう。
PCBの含有が工事直前に発覚すると、見積もり額が大幅に増額されるだけでなく、工期も遅れます。
しかし、事前に把握しておけば、PCB処理に対応した業者を選定でき、スムーズな計画が可能です。低濃度PCB廃棄物の処理に関しては、中小企業向けに処理費用の軽減制度や補助金が用意されている場合があります。
ポイント②複数の専門業者から相見積もりを取り比較検討する
1社だけの見積もりで決めるのではなく、必ず3社程度の業者から相見積もりを取りましょう。
解体業者によって、保有している重機の種類や得意とする工事内容が異なるため、提示される金額に大きな差が出る場合があります。
見積もりを比較する際は、単に合計金額を見るのではなく「処分費」「運搬費」「作業費」などの内訳が明確に記載されているかを確認してください。「一式」という曖昧な表記が多い業者は、追加費用を請求されるリスクがあるため注意しなければなりません。
ポイント③製造年式が新しい場合は買い取り査定を依頼する
撤去するキュービクルが比較的新しい場合(製造から15年〜20年以内など)や、状態がよい場合は、中古品として買い取ってもらえる可能性があります。
買い取りが成立すれば、撤去費用から買い取り金額を差し引けるため、大幅なコストダウンにつながります。
リサイクル業者や中古電気設備を扱う業者に、買い取りの可否を相談してみましょう。しかし、PCBが含まれている機器は買い取り対象外となります。

キュービクルの撤去工事から処分までの流れ
キュービクルの撤去は、単に設備を取り壊すだけではありません。電気を止めるための手続きや安全管理が不可欠です。一般的な工事の流れを把握しておきましょう。
ステップ①電力会社への申請と現地調査
管轄の電力会社へ「電力需給契約の廃止」の手続きを完了させなければ、電気の供給を止めることができず、工事に着手できません。
一般的には、施工業者が申請手続きを代行してくれます。
また、業者が現地を訪問して、詳細な調査を実施しましょう。クレーン車の配置場所や搬出経路、障害物の有無などを確認して、安全な作業計画を立案します。あわせてPCB含有の有無もチェックされ、これらの調査結果をもとに正確な見積もりが作成されます。
ステップ②停電工事と配線の切り離し
工事当日は、電力会社の担当者立ち会いのもとで送電を停止しましょう。
電気が完全に遮断されたことを検電器で確認した後、国家資格を持つ電気工事士が作業に着手します。
キュービクル本体と建物側をつないでいる高圧ケーブルや低圧配線を、1本ずつ慎重に切り離します。
この作業は感電事故のリスクが伴うため、徹底した安全管理の下で行われ、すべての接続が解除されたことを確認できれば、搬出準備が可能です。
ステップ③搬出・運搬・処分
配線の切り離し完了後、クレーンや人力を用いてキュービクルを搬出して、トラックへ積み込みましょう。
搬出された廃棄物は、産業廃棄物収集運搬業の許可を持つ業者が、最終処分場やリサイクル施設まで確実に運びます。
処分後は、法律にもとづき適正に処理されたことを証明する「マニフェスト(産業廃棄物管理票)」が必ず発行されます。
不法投棄などのトラブルを未然に防ぐためにも、マニフェストの交付と確認は大切です。

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キュービクル撤去の費用でよくある3つの質問
キュービクル撤去の費用でよくある質問をご紹介します。それぞれ詳しくみていきましょう。
質問①キュービクル撤去に補助金は使えますか?
通常の撤去工事単体に対する補助金制度は、残念ながら一般的ではありません。
しかし、撤去する設備に有害物質である「PCB」が含まれている場合に限り、中小企業などを対象とした処理費用の軽減制度や助成金が活用できる可能性があります。
また、単なる撤去ではなく、高効率な省エネ機器への「入れ替え」を行う場合は、国の省エネ補助金の対象となる場合もあります。
まずは設備の状況を確認して、自治体の担当窓口やJESCOへ相談しましょう。
質問②工事にかかる期間はどれくらいですか?
一般的な小規模な屋外設置のキュービクルであれば、撤去作業自体は半日〜1日程度でスピーディーに完了します。
しかし、ビルの屋上や地下室など搬出経路が複雑な場所や、足場設置が必要な大規模工事では、2日〜3日程度かかる場合もあります。
電力会社への申請や道路使用許可の取得には数週間を要する場合があるため、作業日だけでなく、準備期間も含めた余裕のある計画が必要です。
質問③雨の日でも撤去工事はできますか?
基本的には、小雨程度であれば作業は可能です。
しかし、豪雨や強風、雷などの悪天候時は、クレーン作業中の転倒リスクや視界不良による危険性が高まるため、工事は延期される場合が一般的です。
また、電気を扱う作業である以上、水気による感電事故を防ぐほうが最優先事項です。安全を確実に確保できないと判断された場合は、天候の回復を待たなければなりません。工期の遅れを見越して、予備日を設定しておくと安心です。

無駄な出費を回避!賢くキュービクルの撤去工事を進めよう!
キュービクルの撤去費用は、設置状況や有害物質の有無によって大きく異なりますが、正しい手順を踏めばコストを適正範囲に抑えられます。
- ポイント①PCB含有の有無を事前に調査してリスクを回避する
- ポイント②複数の専門業者から相見積もりを取り比較検討する
- ポイント③製造年式が新しい場合は買い取り査定を依頼する
まずは現状の設備を確認して、信頼できる専門業者に見積もりの依頼からはじめましょう。
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