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飲食店のランニングコストとは?目安や構成する要素、売上アップのポイントまでご紹介!

飲食店の経営において、ランニングコストは避けて通れない課題です。家賃や光熱費、原材料費、人件費など、さまざまなコストの要素が運営の基盤となり、店舗の収益に大きく影響します。

本記事では、飲食店のランニングコストの概要や目安、構成する要素、売上アップのポイントをご紹介します。また、よくある質問も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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飲食店のランニングコストとは?

飲食店のランニングコストとは?

飲食店の経営において、ランニングコストは重要な要素です。物件を借りるための家賃や提供する料理の原材料費、人件費など、これらの費用が運営の基盤となります。

これらのコストを適切に管理しないと、売上が上がっても利益を確保するのが難しくなります。このため、ランニングコストの明確な把握と管理が、飲食店経営の成功には欠かせません。

飲食店におけるランニングコストの目安

飲食店におけるランニングコストの目安

ランニングコストの目安として、FRL構成比率が65〜70%以下に抑えられているか確認しましょう。FRL構成比率とは、売上に対して、食材原価(Food)や人件費(Labor)、家賃(Rent)がどの程度占めているかを示す指標です。

持続的な経営のためには、この比率を管理して、営業利益が15%以上確保できるように努めなければなりません。

飲食店のランニングコストを構成する5つの要素

飲食店のランニングコストを構成する5つの要素

次は、飲食店のランニングコストを構成する要素について解説します。

  • 材料費
  • 人件費
  • 広告費
  • 光熱費
  • 家賃

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

1.材料費

食材費は店舗運営に必要なコストですが、過度に削減すると料理の質が低下して、顧客満足度に影響を与えかねません。適切な原材料費を設定するためには、仕入れ先の見直しや価格交渉が効果的です。

取引先との信頼関係を保ちながら、現金払いの提案や大量仕入れで単価を抑えるなど、柔軟な対応を心がけましょう。これにより、品質を維持しながら、コストを効率的に管理できます。

2.人件費

人件費は、スタッフに対して支払う給与や交通費、福利厚生費などを含む経費です。適正な人員配置の維持が、効率的な店舗運営には欠かせません。たとえば、来店が多い時間帯にスタッフを増員すれば、サービスの質を保ったままコストを抑えられます。

さらに、顧客の来店パターンをデータ分析して、業務の効率化を進めるのが人件費削減のポイントになります。

3.広告費

広告宣伝費を効果的に管理するには、費用対効果を意識しましょう。高額な広告に頼るのではなく、SNSを活用すれば、コストを抑えて効果的な宣伝が可能です。

たとえば、フォロワーに特典を提供するなどの工夫を施せば、顧客を引き付けられます。さらに、無駄な広告活動を見直して、効果的な手段にリソースを集中させるのが、長期的な成功には欠かせません。

4.光熱費

水道光熱費は、店舗の運営には欠かせない電気やガス、水道代です。この費用のなかでも、電気代は照明や空調、冷蔵庫などの使用によって大きな割合を占めるため、コスト削減が求められます。

たとえば、不要な照明を消したり、蛇口をこまめに閉めたりなど、従業員が意識して小さな習慣を積み重ねれば、光熱費を効果的に抑えられます。また、電力プランやガスとのセット契約など、契約内容の見直しも費用削減につながる方法です。

5.家賃

飲食店の運営では、家賃が固定費のなかで大きな割合を占めます。家賃を抑えると、利益率を高められるため、経営安定につながりますが、交渉が必要な場合もあります。

周辺エリアの家賃相場を調べて、自店舗の家賃が高いと感じた場合は、オーナーに誠実に交渉しましょう。交渉では、今後の事業計画や店舗への思いをしっかりと伝え、契約を続けたいという意志を示す必要があります。

飲食店の売上をアップさせるポイントは5つ

飲食店の売上をアップさせるポイントは5つ

次は、飲食店の売上をアップさせるポイントについて解説します。

  • リピート数を増やす
  • 回転率を上げる
  • デリバリーに対応する
  • 原価率を見直しする
  • 良い口コミを獲得する

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

1.リピート数を増やす

飲食店の経営においては、新規顧客を一度の来店で終わらせないための工夫が大切です。リピーターを増やせば、売上の安定が期待できるため、再来店を促す施策を積極的に取り入れる必要があります。

たとえば、LINE公式アカウントを活用して、登録した顧客に特別なキャンペーン情報やクーポンを配信すると、再訪を促せます。顧客とのコミュニケーションを大切にして、継続的な来店を促す仕組みを構築しましょう。

2.回転率を上げる

回転率は、客席数に対する1日の利用客数の割合であり、業態によって目安が異なります。レストランや居酒屋では「2〜3」、牛丼屋や立ち食いそば屋では「20以上」が一般的な基準です。

提供スピードを速め、メニューを絞って選びやすさを向上させると、回転率が上がります。しかし、品質の低下や顧客流出を防ぐために、全体のバランスを考慮しなければなりません。

なお、飲食店のアイドルタイムについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:飲食店のアイドルタイムとは?メリット・デメリットや活用するためのアイデアをご紹介!

3.デリバリーに対応する

デリバリーサービスの導入は、店舗の物理的なキャパシティに依存せずに商品の販売が可能である点が魅力です。また、店舗の認知度向上や、新たな顧客層へのアプローチが期待できるため、デリバリーメニューを提供できる店舗にとっては、導入を検討する価値があります。

このような取り組みは、既存のビジネスをさらに成長させる可能性があります。

4.原価率を見直しする

飲食店では、売上に対する原材料費の割合である「原価率」が大切な指標です。一般的に、飲食業界の平均原価率は30%前後とされていますが、店舗の方針やメニューに応じて適切な価格設定が必要です。

材料にこだわりすぎてコストが高くなりすぎたり、価格を抑えすぎたりすると利益が出にくくなります。定期的に原価率をチェックして、適正な価格設定を行い、売上の向上につなげましょう。

なお、飲食店の原価率ランキングについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:【業種別】飲食店の原価率ランキング|原価率の平均値や下げるコツまで詳しく解説します!

5.良い口コミを獲得する

口コミは、顧客が企業やサービスに対する感想を共有する際の大切な要素であり、オンライン上での影響力は大きいです。ポータルサイトやSNSなど、多様なプラットフォームで口コミが広がると、ほかの潜在的な顧客に強い印象を与えられます。

また、顧客満足度が高いと、ポジティブな口コミが増えて、店舗の認知度や信頼性が向上します。しかし、低評価の口コミはブランドイメージを損なう可能性があるため、常に顧客の期待を超えるサービスの提供が欠かせません。

飲食店のランニングコストでよくある3つの質問

飲食店のランニングコストでよくある3つの質問

最後に、飲食店のランニングコストでよくある質問について紹介します。

  • 質問1.イニシャルコストとランニングコストの違いは?
  • 質問2.ランニングコストを見直す際に注意すべきポイントは?
  • 質問3.飲食店に必要な売上はどれくらい?

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

質問1.イニシャルコストとランニングコストの違いは?

事業を立ち上げる際には、初期費用と運営費用の両方が発生します。初期費用であるイニシャルコストは、開業時に必要な資金であり、物件の取得や設備の購入に充てられます。

初期費用は一度だけ発生しますが、非常に高額になる場合が多く、資金計画において大切な要素です。一方、運営費用であるランニングコストは、事業が始まってから継続的にかかる費用です。

質問2.ランニングコストを見直す際に注意すべきポイントは?

ランニングコスト削減を目指しても、サービスの質が低下すると顧客離れを招きかねません。逆に、コストをかけて売上を増やそうとする場合にも、リスクがあります。

たとえば、人気のある店舗が席数を増やした際に、来店客数が減少して売上が下がる事態に陥る場合もあります。このため、店舗の雰囲気や顧客の期待など、さまざまな要素を総合的に考慮しなければなりません。

質問3.飲食店に必要な売上はどれくらい?

個人で経営する飲食店にとって、年間1,000〜2,000万円の売上を目標とするのは、成功のための大切なステップです。これは、月間では83〜167万円、日々の営業では約2.7〜5.5万円に相当します。

店舗の規模や立地条件に応じて、必要な売上額は変動するため、具体的な事業計画の作成が不可欠です。さらに、提供するメニューの内容やスタッフの数など、さまざまな要因を考慮し、年間を通じた売上向上を目指しましょう。

まとめ

まとめ

本記事では、飲食店のランニングコストの概要や目安、構成する要素、売上アップのポイントをご紹介しました。

ランニングコストは、材料費や人件費、広告費、光熱費、家賃などが主な構成要素であり、それぞれのバランスが経営に大きな影響を与えます。ランニングコストの目安として、FRL構成比率が65〜70%以下に抑えられているか確認しましょう。

FRL構成比率とは、売上に対して、食材原価(Food)、人件費(Labor)、家賃(Rent)がどの程度占めているかを示す指標です。また、売上をアップさせるためには、リピート客の増加や回転率の向上、デリバリー対応の強化、原価率の見直し、良い口コミの獲得が効果的です。

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