
飲食店を居抜きで譲渡する際、内装や厨房設備など既存の造作を買い取ってもらう代わりに発生するのが「造作譲渡金」です。売却時の大きな収入源となる一方、金額設定に明確なルールはなく、相場も分かりづらいのが現状。
この記事では、造作譲渡金の決め方や価格に影響する要素、注意点を分かりやすく解説します。適正価格の設定方法を習得し、スムーズな店舗譲渡を実現しましょう。

造作譲渡金とは?

造作譲渡金とは、飲食店を居抜きで売却する際に、譲渡する「造作」に対価として支払われる金額のことです。この造作には、内装や厨房設備、空調設備など、店舗で営業するために必要なさまざまなものが含まれます。
| 譲渡対象となるもの | 備考 |
|---|---|
| 壁・床・天井などの内装 | 店舗のデザインや雰囲気に関わる重要な要素です。 |
| 厨房設備 | オーブンや冷蔵庫、調理台など、営業に不可欠な設備です。 |
| ダクトやグリーストラップ | 飲食店特有の設備で、特に重要です。 |
| エアコンなどの空調設備 | 快適な営業環境を維持するために必要です。 |

造作譲渡金の決まり方

造作譲渡料を決める明確な基準はありません。そのため、基本的には売り手に決定権があります。しかし、高額な設定では売買契約が成立しにくいため、適正な価格設定が大切です。
造作譲渡料は、個々の設備の価格を合計したものではありません。譲渡対象となるものの価値全体を評価して決定されます。買い手がその店舗で営業することで得られる価値を考慮して、総合的に評価されます。重要な要素は以下の通りです。
| 要素 | 説明 |
|---|---|
| 集客力のある立地 | 人通りの多いエリアや、店舗への入りやすさ、視認性の高さなどが評価されます。看板の設置状況も影響します。 |
| 設備の充実度 | ダクトの設置状況やグリース・トラップの種類、エアコンの状態などが評価対象となります。業態によって必要な設備が異なるため、設備の充実度は価格に大きく影響します。 |
| 使用できる設備の多さ | 営業年数が短い店舗は、状態の良い設備が多いため、譲渡金が高くなる傾向があります。 |
これらの要素に加えて、市場の動向も考慮する必要があります。そのため、専門家である居抜き業者に相談し、見積もりやサポートを受けることで、適正な価格設定を行い、スムーズな売却を実現できるでしょう。

造作譲渡金を決める流れ

造作譲渡金を決定するまでには、いくつかの段階があります。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1. 造作譲渡可能か確認 | 賃貸借契約を確認し、造作譲渡が可能かどうかを物件所有者に確認します。 |
| 2. 譲渡対象のリスト化 | 譲渡する設備をリストアップし、写真などを用いて状態を記録します。 |
| 3. 査定 | 専門業者等に依頼し、譲渡対象の査定額を算出します。 |
| 4. 交渉 | 買い手と価格や条件などを交渉します。 |
| 5. 契約締結 | 交渉が成立したら、契約書を作成・締結します。 |
最終的に合意に至ったら、造作譲渡契約を締結します。契約書には、譲渡対象物や譲渡金額、支払い条件などが明記されます。契約内容をよく確認し、不明点があれば専門家に相談しましょう。

造作譲渡金を左右する主な要素は3つ

造作譲渡金は、買い手がその店舗で営業することで得られる価値によって総合的に評価されます。主な要素は以下の3つです。
1.立地条件がいい
不動産売買において立地条件は非常に重要です。特に駅近物件、商業施設に隣接している物件などは高値で売買される傾向があります。
| 立地条件 | 売却価格への影響 |
|---|---|
| 駅近 | 高くなる傾向 |
| 商業施設隣接 | 高くなる傾向 |
| 都心 | 高くなる傾向 |
| 郊外 | 低くなる傾向 |
このように、立地条件は売却価格を左右する大きな要因となります。
2.設備が充実している
厨房設備の充実度は、造作譲渡金の金額を大きく左右する要素の一つです。設備が充実していることは、買い手にとって開業コストの削減と開業準備期間の短縮に直結するためです。設備の充実度と譲渡金への影響の関係性は次のとおりです。
| 設備の充実度 | 譲渡金への影響 |
|---|---|
| ダクトが屋上まで適切に設置 | 高 |
| 埋め込み式のグリーストラップ(浅型) | 高 |
| ガス、電気、給排気設備が充実 | 高 |
| 必要最低限の設備 | 低 |
このように、設備の充実度は譲渡金に直結する重要な要素です。買い手の立場に立って、厨房設備の充実度をアピールすることで、スムーズな売却に繋がるでしょう。
3.使用できる設備が多い
開業から間もない店舗では、設備の耐用年数が比較的も長く、状態が良い機器が多いため、譲渡金額が高くなる傾向があります。逆に、長期間使用された設備は劣化が進んでいる可能性があり、譲渡金額が低くなる可能性があります。
ただし、設備の耐用年数や性能が譲渡金額に直接反映されるわけではありません。重要なのは、買い手がその店舗で円滑に営業できるかどうかの視点です。たとえ年数が経過していても、適切にメンテナンスされ、問題なく使える状態であれば、高評価につながる可能性があります。
また、設備の状態を客観的に示すために、設備リストを作成し、それぞれの設備の状態(新品、中古、使用年数、メンテナンス状況など)を明記しておくと、買い手との認識のずれを防ぎ、信頼関係を築くことにも繋がります。

造作譲渡金を決める際の注意点は3つ

造作譲渡は、譲渡する側と譲り受ける側双方にとってメリットのある方法ですが、注意しなければならない点もあります。トラブルを避けるためにも、以下の3点に注意しましょう。
1.賃貸借契約と造作譲渡の売買契約は別々に進める
造作譲渡は、物件の賃貸借契約とは別の売買契約として扱う必要があります。なぜなら、物件の所有権と造作物の所有権は別物だからです。
物件の賃貸借契約は、建物の貸主と借主の間で締結され、物件の使用に関する権利義務を定めます。一方、造作譲渡の売買契約は、前の借主と次の借主(あるいは貸主)の間で締結され、造作物の所有権の移転を定めます。両者の違いを以下の表にまとめました。
| 項目 | 賃貸借契約 | 造作譲渡売買契約 |
|---|---|---|
| 所有権の対象 | 物件 | 造作物 |
| 契約の性質 | 使用貸借 | 売買 |
| 契約当事者 | 貸主と借主 | 前の借主と次の借主(または貸主) |
つまり、物件を借りる契約と造作物を売買する契約は、それぞれ別の契約として取り扱わなければならないということです。
ただし、賃貸借契約書に造作譲渡に関する条項が含まれている場合は、この限りではありません。造作譲渡を行う際は、賃貸借契約書の内容を確認し、必要に応じて貸主と協議しましょう
2.造作譲渡の対象となる設備はすべてリスト化する
造作譲渡では、トラブル防止のため、譲渡対象となる設備(厨房機器、内装、什器など)を詳細にリスト化することが不可欠です。「含まれる・含まれない」という売主と買主の認識のズレを防ぎます。
リストには品名、数量、状態(使用年数など)を明記しましょう。とくに重要なのが、リース品やレンタル品など売主に所有権がないものです。これらは必ず「対象外」または「リース契約」と区別して記載してください。
3.客観性のある適正な価格設定をする
造作譲渡金の価格設定は、売主と買主の話し合いで決定されます。しかし、適正な価格設定を行うには客観的な評価が必要です。
提示価格が適正価格とかけ離れていると、売買交渉がスムーズに進まない可能性があります。そこで、造作譲渡金の算定方法を理解しておきましょう。
造作譲渡金の算定方法はいくつかありますが、ここでは代表的な3つの算定方法を説明します。
| 方法 | 説明 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 時価純資産価額法 | すべての資産と負債を時価で再評価して純資産額を算出 | 専門知識やデータが不要 | 将来の収益性などを反映できない |
| 類似業種比準法 | 同一業種・同一規模の標準的な企業と比較 | 客観性があり説得力を持つ | 類似業種の評価に左右される |
| 配当還元法 | 株式の配当を基準に評価 | 計算が比較的容易 | 過去の配当実績に依存 |
どの算定方法が適切かは、事業の特性や譲渡対象によって異なります。複数の方法で算定し、比較検討することで、より客観的で適正な価格設定が可能になります。また、専門家のアドバイスを受けるのも有効です。

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譲渡金でよくある3つの質問

ここでは、譲渡金に関してよくある質問をまとめ、疑問を解消していきます。譲渡所得の計算方法、譲渡の対象、メリットについて解説します。
質問1.居抜き売却とは?
居抜き売却とは、店舗や事務所などを売却する際に、内装や設備なども含めて売却する方法です。通常の売却とは異なり、次のテナントは内装工事などの初期費用を抑えることが可能です。ただし、譲渡所得税が発生する点には注意しなければなりません。
質問2.造作譲渡の対象になるものは?
造作譲渡の対象となるものは、内装、設備、什器などです。エアコン、厨房設備、レジなどが対象となります。譲渡の対象となるものは売買契約書に明記する必要があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 内装 | 壁紙、床材、天井など |
| 設備 | エアコン、照明器具、厨房設備など |
| 什器 | 机、椅子、棚など |
質問3.造作譲渡のメリットは?
造作譲渡のメリットは、売主と買主双方にとってメリットがあります。売主は、内装や設備などを廃棄処分する費用を削減できます。買主は、内装工事などの初期費用を抑えることができ、早期に事業を開始することが可能です。
| 売主 | 買主 |
|---|---|
| 廃棄費用削減 | 初期費用抑制 |
| 譲渡益 | 事業早期開始 |

まとめ

造作譲渡金とは、飲食店などを居抜きで売却する際に、内装や厨房設備などの造作に対して支払われる金額です。譲渡金の決定は明確な基準がなく、売主の決定権が大きいですが、買い手が営業することで得られる価値を考慮した適正な価格設定が重要です。
専門家である居抜き業者に相談することで、スムーズな売買を実現できるでしょう。「金山株式会社」では、豊富な経験と実績を活かし、周辺環境や近隣に配慮したスムーズな解体工事を実現しています。
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