
閉店のお知らせについて、どのような方法や内容で告知するか悩まれている方もいるのではないでしょうか。顧客や取引先への閉店のお知らせは、計画的にアナウンスする必要があります。
本記事では、閉店のお知らせを告知する方法や手書きで書く場合に利用できる例文、ポイントを解説します。また、よくある質問も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

閉店のお知らせを告知する主な方法は5つ
閉店のお知らせを告知する主な方法について解説します。
- 張り紙
- はがき・メール
- SNS
- ホームページ
- 手渡し
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.張り紙
店内やファサードの目立つ場所に張り紙を掲示しておくと、通りすがりの人々にも効果的に情報を伝えられます。閉店や移転などの重要な告知をする際には、人々が立ち止まって読むことを想定した場所に貼るようにしましょう。
また、移転を伴う場合には、新しい店舗の住所や地図を記載するのがおすすめです。このとき、見やすいフォントと強調したい部分は赤字にするなど工夫し、耐久性に優れた紙質を選ぶことが大切です。
2.はがき・メール
遠方の顧客に閉店を知らせるには、はがきを利用する方法が効果的です。基本的な文面はプリントしても問題ありませんが、手書きのメッセージを添えるとこれまでの感謝の気持ちが伝わります。
また、はがきを投函する前に、事前にメールで一報を入れておくとより丁寧な印象が与えられます。なお、メルマガ会員の顧客には、個別のメールでお知らせする方法もおすすめです。
3.SNS
SNSでは、「【重要】閉店のお知らせ」など目に留まりやすいタイトルで複数回の告知をするのが効果的です。さらに、ブログやホームページでも忘れずに告知しましょう。
また、メールは主に取引先への通知に利用し、InstagramやFacebookのアカウントは閉店後もしばらく残しておいてください。最後の営業日には店内の様子やスタッフの集合写真を投稿し、明るく締めくくるようにしましょう。
4.ホームページ
ホームページでは、トップページに閉店のお知らせを掲載しましょう。閉店の1〜2か月前から告知を開始し、閉店後も利用者が多い時期や忘年会やお花見、クリスマスのシーズンが過ぎるまでは、ホームページを閉鎖せずに残しておくのがおすすめです。
移転を伴う閉店の場合は、閉店の謝罪や感謝の意を表すとともに、移転先の情報を掲載してください。
5.手渡し
店舗に足を運んでくれた顧客には、手渡しで閉店を案内するのがおすすめです。会計時にチラシや小さな案内として「閉店のお知らせです」と一声添えると親切です。
さらに、チラシに「チラシを持っていれば100円割引」や「SNSシェアで無料トッピング」といった特典があると、閉店に向けた客足アップや情報の拡散が期待できます。

閉店のお知らせとして記載すべき内容
閉店のお知らせとして記載すべき項目としては、以下が挙げられます。
- 閉店の事実と理由
- 閉店予定日と最終営業日
- 最終営業期間中の営業時間と日程
- 長年のご愛顧に対する感謝の言葉
- 閉店後の問い合わせ先情報
- 移転する場合は新しい住所と開店予定日
最終営業日までのスケジュールを明確にし、顧客への配慮を示すようにしましょう。移転が予定されている場合は、新しい店舗の詳細とともに、継続的な利用をお願いする内容を加えると効果的です。

閉店のお知らせを告知するタイミング
閉店の告知は、物件の退去予定日の1~2か月前に告知するのが一般的です。これにより、顧客や取引先に対して適切な準備と調整の時間を提供できます。
また、居抜き売却を検討している場合は、貸主や物件所有者への適切な解約予告が必要であり、買主を見つける作業も計画的にしなければなりません。
もし、告知が遅くなった場合は、SNSや店頭への掲示、はがきなど複数の方法を組み合わせてアナウンスするのが望ましいです。また、ボトルキープのある飲食店の場合は、閉店前に顧客へボトルを渡すことを忘れないようにしましょう。

閉店のお知らせを手書きで書く場合に利用できる3つの例文
次に、閉店のお知らせを手書きで書く場合に利用できる例文について紹介します。
- 閉店前の場合
- 閉店後の場合
- 移転閉店する場合
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.閉店前の場合
閉店の告知では、日付と時間を強調し、変更の有無にかかわらず最新の営業情報を伝えましょう。
閉店のお知らせ 平素より、当店をご利用いただきありがとうございます。誠に勝手ながら、〇月〇日〇時をもちまして、閉店することとなりました。閉店日まで、通常通りの営業日・営業時間で営業いたします。閉店前には特別メニューもご用意しておりますので、ぜひご賞味ください。長年にわたり、格別のご愛顧を心より感謝申し上げます。 店主 |
2.閉店後の場合
閉店後に集客したい系列店があれば、地図と一緒に掲載すると集客につながります。また、閉店後の問い合わせ先は必須ではないため、必要に応じて載せましょう。
閉店のお知らせ 誠に勝手ながら、当店は〇月〇日をもちまして閉店いたしました。長らくご愛顧いただき、心より感謝申し上げます。今後は、〇〇町駅前の「△△ 〇〇町駅前店」をご利用いただきますようお願い申し上げます。系列店の地図を掲載し、引き続きのご愛顧を賜れますよう努めて参ります。 【閉店後のお問い合わせ先】株式会社□□Tel:00-0000-0000 系列店の詳細やその他のお問い合わせについては、上記連絡先までご連絡ください。再び皆様にお会いできる日を楽しみにしております。 店主 |
3.移転閉店する場合
閉店する店舗と移転先の位置関係がわかるように、新しい店舗の住所と地図は必ず掲載しておきましょう。
移転閉店のお知らせ 平素より当店をご利用いただきまして、誠にありがとうございます。この度◯◯(店舗名)は、◯月◯日から下記の新住所に移転いたします。移転に伴い、現在の店舗は◯月◯日をもって閉店いたします。新店舗の営業開始は◯月◯日からで、営業時間は×時から×時までとなります。 新店舗の住所:△△県△△市△△町… お問い合わせ先:Tel 00-0000-0000(電話番号の変更はございません) 移転先の位置関係を示す地図も掲載しておりますので、ご確認ください。新しい場所でも変わらぬご愛顧を心よりお待ちしております。どうぞ引き続き、よろしくお願い申し上げます。 店主 |

閉店のお知らせを効果的に告知するポイントは3つ
次に、閉店のお知らせを効果的に告知するポイントについて解説します。
- 複数の告知方法を組み合わせる
- 閉店の理由は簡潔に告知する
- 手書きで感謝の気持ちを伝える
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.複数の告知方法を組み合わせる
移転を予定しているお店では、移転先の情報を顧客へ確実に伝えることがリピーターを維持するポイントになります。閉店のお知らせを伝える紙の配布や、SNSでの情報共有など、目につきやすい複数のメディアの活用により、顧客の来店率向上にもつながります。
さらに、小売業で行われるような閉店セールや、SNSのリツイートで割引の提供なども集客に効果的です。
2.閉店の理由は簡潔に告知する
閉店の理由を記載する際は、読み手の利便性を考慮して、簡潔に表現しましょう。たとえば、「健康上の理由のため」「ビル老朽化につき」などの一言で簡潔に述べるのが望ましいです。
とくに、地元密着型の飲食店など、顧客との交流が深い場合は、閉店の理由を簡潔に説明するようにしましょう。ただし、ネガティブな内容は長々と書かず、読み手に不快な気持ちを与えないように注意が必要です。
3.手書きで感謝の気持ちを伝える
張り紙やはがきなど、手書きで「閉店のお知らせ」を書くと、顧客への感謝がより伝わりやすくなります。閉店までの営業期間中に、客足が伸びる可能性もあります。
ただし、筆跡が乱れていたり、文字を書くことに自信がない場合は、無理に手書きをする必要はありません。店名や店主の名前だけを手書きにするなど、部分的な手書きでも十分効果が期待できます。

閉店のお知らせの手書きでよくある3つの質問
最後に、閉店のお知らせの手書きでよくある質問について紹介します。
- 質問1.閉店のお知らせを取引先に知らせる場合の例文は?
- 質問2.飲食店を閉店する場合の告知の流れは?
- 質問3.飲食店の閉店が多い理由は?
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
質問1.閉店のお知らせを取引先に知らせる場合の例文は?
取引先へのお知らせは、気心が知れた仲であってもフォーマルな文章がおすすめです。
株式会社〇〇〇〇様 閉店のお知らせ 拝啓 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。さて、突然ではございますが、諸般の事情により〇月〇日をもちまして〇〇(店名)を閉店する運びとなりました。創業以来、皆様方には並々ならぬご厚志を賜り、心より感謝申し上げます。同時に、閉店によりご迷惑をおかけしますことを深くお詫び申し上げます。皆様のますますのご健勝とご発展を心よりお祈り申し上げます。略儀ながらまずは書中をもちまして、閉店のご挨拶といたします。敬具 令和〇年〇月〇日(店名・住所・電話番号) |
質問2.飲食店を閉店する場合の告知の流れは?
飲食店の閉店を告知する際の一般的な流れは以下のとおりです。
- 取引先やスタッフへの初期告知(閉店2か月前)
- 閉店告知用の張り紙やPOPの作成
- 店内に「閉店のお知らせ」を掲示(閉店1~2か月前)
- SNSなどのデジタルプラットフォームを通じての公式告知(閉店1~2か月前)
スタッフへの通知は、労働基準法にもとづく解雇予告期間に関する規定により、少なくとも30日以上前に実施しましょう。適切な告知がない場合、解雇予告手当を支払う必要があります。
また、内部情報が外部に漏れると労使間でのトラブルを引き起こす場合があるため、スタッフへの通知後に取引先へも迅速に情報を伝えることが大切です。
質問3.飲食店の閉店が多い理由は?
飲食店が閉店に至る理由は多岐にわたりますが、主な理由としては以下が挙げられます。
- 利益の確保が困難
飲食業界の利益率はほかの業種に比べて低く、人件費と原材料費が重くのしかかる
- 初期投資が大きい
飲食店を開業する際には、店舗の内装や厨房機器など高額な初期投資が必要となる
- 運転資金の不足
経費やランニングコストの支払いに対応するための資金繰りが難しくなる
- 業態変更やリニューアルに必要なコスト
市場の変化に応じてビジネスモデルを更新するための追加投資が負担となる
- 経営者の高齢化
業界全体で見られる高齢化問題により、事業継承や新たな経営戦略への転換が困難な状況がある
なお、飲食店の廃業率については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:飲食店の廃業率が高い8つの理由|潰れない店の特徴や回避策、よくある質問まで徹底解説! – 金山株式会社

まとめ
本記事では、閉店のお知らせを告知する方法や手書きで書く場合に利用できる例文、ポイントを解説しました。
閉店のお知らせを告知する際は、張り紙やホームページ、SNSなど複数の方法を採り入れるのが効果的です。お知らせの内容も簡潔に記載し、顧客への感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。
また、顧客だけでなく、スタッフへの告知も労働基準法によって30日以上前に実施しなければならないため、注意してください。

