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飲食店の明け渡しとは?明け渡しの前に必要な準備や確認、注意点まで詳しく解説します!

明け渡しとは、借主の所有物をすべて撤去し、完全に空の状態で物件を引き渡すことを指します。明け渡しには多くの準備や確認事項があり、注意点を押さえておかないとトラブルに発展しかねません。

本記事では、飲食店の明け渡しの概要や明け渡しの前に必要な準備、注意点をご紹介します。また、よくある質問も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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飲食店の明け渡しとは?

飲食店の明け渡しとは?

明け渡しは、借主が物件を貸主に返却する際に行う手続きです。借主は、物件内のすべての私物を取り除き、備え付けの設備を除いたオーナーの所有物を撤去する必要があります。

この際、原状回復工事を実施し、未払いの賃料や光熱費があれば支払いを完了させなくてはなりません。また、鍵の返却が終わったあとは、物件への立ち入りができなくなるため、事前にすべての作業を完了させるように注意してください。

「明け渡し」「引き渡し」「立ち退き」の違い

「引き渡し」は、原状復帰した状態であっても、物件内に借主の所有物が残っている状態でも、鍵を返却し、物件の占有権を物件貸主や所有者に戻さなければならないことです。

一方、「明け渡し」は、借主の所有物をすべて撤去し、完全に空の状態で物件を引き渡すことを指します。また、「立ち退き」は、物件貸主・所有者が建物の解体や再建築などを理由に、物件からの退去を求めることを指しています。

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飲食店の明け渡し前に必要な準備や確認は3つ

飲食店の明け渡し前に必要な準備や確認は3つ

次は、飲食店の明け渡し前に必要な準備や確認について解説します。

  • 原状回復工事の範囲を確認する
  • 調査や見積もりに立ち会う
  • 設備や什器を片づける

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

1.原状回復工事の範囲を確認する

賃貸契約を締結する際には、原状回復工事の範囲と内容を事前に確認する必要があります。たとえば、「退去時にスケルトン状態に戻す必要がある」などの条件が明記されている場合があります。

また、居抜き状態で物件を借りた場合でも、一般的には原状回復工事が必要です。居抜きのまま物件を売却または撤退したい場合は、貸主と事前に協議する必要があります。

なお、スケルトン渡しの概要については、こちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:【プロが教える】スケルトン渡しとは?居抜きとの違いや費用相場、トラブルを防ぐ注意点を徹底解説!

2.調査や見積もりに立ち会う

原状回復工事に関して、借主と物件の貸主の間で誤解が生じる場合があります。工事の範囲や内容に関しては、工事業者が見積もりをする際に、両者が現場に立ち会い、詳しい内容を確認しておきましょう。

また、工事費用の負担についても契約書にもとづき交渉できるため、明確な費用負担の取り決めをしておくことがおすすめです。

3.設備や什器を片づける

解体工事や原状回復工事の前に、厨房設備やレジ、家具、食器、備品などの買取を専門の業者に相談するのがおすすめです。建物内の部材や設備などは、貸主に承諾を得てから、買い取りしてもらうようにしましょう。

また、飲食店の仲間に什器の譲渡先を探すのも1つの方法です。さらに、ガレージセールを開催して、近隣住民に買い取ってもらう方法もあります。

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飲食店を明け渡しする際の注意点

飲食店を明け渡しする際の注意点

次は、飲食店を明け渡しする際の注意点について解説します。

  • 明け渡し日までに全作業を終了させる
  • 「つけ」の回収を忘れない

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

1.明け渡し日までに全作業を終了させる

退去日には、借主の所有物をすべて撤去した状態で物件を返還する必要があるため、解体工事や廃棄物の処理が完了していなければなりません。また、工事期間は、工事の内容や物件の場所、アクセスのしやすさにより異なります。

このため、見積もりの際に業者と詳細に確認をして、余裕のあるスケジュールを設定しましょう。しかし、予期しない追加作業が発生する可能性があるため、計画はゆとりを持って進める必要があります。

2.「つけ」の回収を忘れない

店舗を閉店し、事業を終了する際には、未収金の回収を急ぐ必要があります。飲食店の「つけ」は、1年という短期間で消滅時効にかかるため、早急な対応が欠かせません。

閉店後は債権の回収がさらに困難になるケースが予想されるため、早めの対応が肝心です。また、2017年の民法改正により、未収金の消滅時効は原則5年間に変更されますが、施行前の「つけ」については旧民法の適用が継続されるため、注意しなければなりません。

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明け渡しでよくある3つの質問

明け渡しでよくある3つの質問

最後に、明け渡しでよくある質問について紹介します。

  • 質問1.明け渡しで起こりやすいトラブルは?
  • 質問2.明け渡し訴訟とは?
  • 質問3.明け渡し費用を抑える方法は?

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

質問1.明け渡しで起こりやすいトラブルは?

借主と貸主の間で齟齬があり、トラブルにつながるケースが多いです。こうした誤解が原因で、予想外の工事費用が発生したり、必要のない工事が行われる場合があります。

このような問題を防ぐためには、工事前の現地調査や見積もりの際に、工事業者も交えて双方の認識を一致させる必要があります。工事内容や費用についての理解を深めるためには、詳細な説明と確認が欠かせません。

質問2.明け渡し訴訟とは?

明け渡し訴訟とは、賃貸契約に違反した借主が住んでいる物件を明け渡すよう貸主が求める法的手続きです。借主が家賃を滞納したり、契約に違反したりしていても、貸主が独自に退去を強制することはできません。

このため、貸主は裁判所を通じて正式な手続きを進める必要があります。裁判所が訴訟を認めた場合、借主は強制的に退去させられ、借主の持ち物を貸主が処分したり、鍵を変更したりできます。

質問3.明け渡し費用を抑える方法は?

明け渡しの際のコストを削減するには、原状回復工事や内装解体工事の費用を抑える工夫が必要です。複数の工事業者から見積もりを取得し、それぞれ業者の提案内容を比較検討しましょう。

ただし、費用の安さだけで業者を選ぶのではなく、信頼性や過去の実績を確認することが大切です。また、場合によっては居抜き状態での引き渡しを提案し、貸主と交渉すれば費用を抑えられる場合があります。

なお、居抜き物件については、こちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:居抜き物件とは?メリット・デメリットや契約する際のステップまで詳しく解説します!

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まとめ

まとめ

本記事では、飲食店の明け渡しの概要や明け渡しの前に必要な準備、注意点をご紹介しました。

飲食店の明け渡し前には、原状回復工事の範囲を賃貸契約で確認しておきましょう。しかし、借主と物件の貸主の間で齟齬が生じる場合があるため、工事業者が見積もりをする際に、両者が現場に立ち会うのがおすすめです。

また、居抜きのまま物件を売却または撤退する場合には、貸主と事前に協議する必要があります。さらに、解体工事や原状回復工事の前に、厨房設備やレジ、家具、食器、備品などを専門の買取業者に買い取ってもらうようにしておきましょう。

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