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店舗における原状回復工事の特徴とは?費用相場やトラブルを防ぐためのコツを徹底解説!

店舗を閉店する際に、避けて通れないのが原状回復工事です。原状回復工事には、費用や工事内容など多くの注意点があり、トラブルを避けるためには事前の知識が欠かせません。

本記事では、店舗における原状回復工事の特徴や費用相場、トラブルを防ぐためのコツをご紹介します。また、よくある質問も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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店舗における原状回復工事の特徴とは?

店舗における原状回復工事の特徴とは?

店舗物件の賃貸契約において、原状回復の義務と範囲は大切な要素となります。商業利用のため、多くの人の出入りや荷物の頻繁な搬入が予想されるため、物件の損耗が進みやすいです。

また、居住用物件と比較して、店舗物件の原状回復費用は高額になるのが一般的です。このため、貸主は契約書に原状回復義務を明記し、借主は退去時に設備や内装の復旧を求められる場合が多くあります。

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原状回復の例外にあたる「居抜き物件」の概要

原状回復の例外にあたる「居抜き物件」の概要

居抜き物件は、前のテナントが使用していた設備や什器がそのまま残っている状態で貸し出される物件です。一般的な店舗用物件では、退去時に原状回復が必要ですが、居抜き物件ではそのまま次のテナントが使用する場合が多いため、原状回復が免除される可能性があります。

また、使用状況によっては、損傷が激しい箇所の修繕やクリーニングが必要になる場合があります。しかし、一般的な原状回復に比べると、コストを抑えられる点がメリットです。

なお、居抜き物件については、こちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:居抜き物件とは?メリット・デメリットや契約する際のステップまで詳しく解説します! – 金山株式会社

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店舗における原状回復工事の内容

店舗における原状回復工事の内容

店舗における原状回復工事の内容としては、以下が挙げられます。

  • 店舗内部の内装造作の解体や撤去
  • 床や壁の張替えや塗装作業
  • 天井の塗装
  • 照明器具の取り外しや位置の戻し
  • エアコンのクリーニング
  • 配線の撤去
  • 水回りの清掃
  • 原状回復工事で発生した廃棄物の処理

これらは、店舗の借主が店舗を元の状態に戻すための工事であり、費用は基本的に借主が負担しなければなりません。

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店舗のおける原状回復工事の費用相場

店舗のおける原状回復工事の費用相場

賃貸物件の原状回復工事費用は、物件の種類や規模によって大きく異なります。オフィスや店舗物件の場合、費用は坪あたり3万円~30万円までと範囲が広いです。

規模の小さい物件では、費用が比較的安く抑えられますが、大規模な物件や大手ディベロッパーが所有する物件では、費用が高額になる傾向があります。

また、飲食店として使用されている場合、厨房設備の撤去や清掃、空調設備の点検など、追加の工事が必要になるため、費用がさらに増加しかねません。さらに、居抜き物件でもスケルトン状態に戻す義務が生じる可能性があります。

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原状回復工事の費用が高くなるケースは3つ

原状回復工事の費用が高くなるケースは3つ

次は、原状回復工事の費用が高くなるケースについて紹介します。

  • 重飲食業態に該当する
  • 大手系列や商業施設に入居している
  • B工事区分の設備を変更している

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

1.重飲食業態に該当する

焼肉店や中華料理店などの重飲食店は、喫茶店やカフェなどの軽飲食店に比べて設備投資が高くなる傾向があります。この理由としては、大量の排気を処理しなければならないため、高性能な排気設備が必要だからです。

また、厨房スペースが広くなるため、設備の導入コストも増加します。さらに、油を多く使用する料理が多いため、ダクトや壁のクリーニングや修繕の頻度も高くなり、その分のコストが追加されます。

2.大手系列や商業施設に入居している

入居する物件のデベロッパーや管理会社が大手系列企業であったり、建物のグレードが高かったりする場合、原状回復の費用が高くなる傾向があります。これには、建設業界特有の多層下請構造である点が要因として挙げられます。

多層下請構造は、発注元から工事を実施する企業までに複数の中間業者が介在する状態です。このため、大手系列や高グレードの物件では中間業者の数が多くなり、無駄な中間マージンが発生しやすい状況が生じます。

3.B工事区分の設備を変更している

飲食店を開業する際は、物件の設備に関する工事について理解しておく必要があります。分電盤や給排水、換気、防水防災などの施設全体に影響を与える設備は、契約時に「B工事」として区別されます。

これらの工事は、貸主の指定業者が担当するため、相見積もりが難しく、費用が高額になるケースも珍しくありません。また、開業後に実施した設備の変更や追加は、退店時に原状回復工事をする必要があります。

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店舗の原状回復工事で起こりやすいトラブル

店舗の原状回復工事で起こりやすいトラブル

次は、店舗の原状回復工事で起こりやすいトラブルについて紹介します。

  • 原状回復義務の範囲
  • 原状回復費用の金額

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

1.原状回復義務の範囲

賃貸物件における原状回復義務は、物件ごとに異なるため、契約前に内容を確認しておきましょう。しかし、契約書や特約に原状回復の範囲が明記されていない場合、トラブルが発生しやすくなります。

たとえば、居抜き物件を借りた場合に、「借りたときの状態に戻せばよい」と思っていたものの、実際にはスケルトン状態に戻す必要があったという事例もあります。このようなトラブルを未然に防ぐためにも、契約書の内容を十分に確認しなければなりません。

2.原状回復費用の金額

退去の際にトラブルを避けるためには、工事見積書をしっかり確認しておくことが大切です。また、見積書に工事内容や費用の詳細が記載されていない場合、追加費用が発生する可能性があります。

さらに、工事が退去日までに完了しないと、遅延損害金を請求される可能性もあります。このため、退去が決まったら早急に原状回復工事の見積もりを依頼し、余分な工事が含まれていないか、施工範囲は正確か、価格は妥当かを確認しましょう。

なお、原状回復費用が高すぎるときの対処法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:原状回復費用が高すぎるときの対処法は3つ|高くなりやすいケースや安く抑えるコツを解説! – 金山株式会社

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原状回復工事でのトラブルを防ぐためのコツ

原状回復工事でのトラブルを防ぐためのコツ

次は、原状回復工事でのトラブルを防ぐためのコツについて紹介します。

  • 賃貸借契約書や特約の内容を確認する
  • 専門家に相談する

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

1.賃貸借契約書や特約の内容を確認する

賃貸物件を退去する際には、原状回復の範囲が問題になるケースが多くあります。たとえば、契約書に記載されている内容が不明瞭である場合や、契約期間中に変更があった場合には注意が必要です。

また、居抜き物件やスケルトン物件など、物件の状態に応じた特別な取り決めが存在する場合もあります。このため、契約書に記載されている工事区分表を確認し、貸主と借主の責任範囲を明確にしましょう。

2.専門家に相談する

貸主とテナント間での契約解釈の違いが、トラブルの原因となるケースが多くあります。たとえば、通常損耗に関する原状回復の義務についての認識差があげられます。

しかし、法的な争いに発展すると、訴訟費用や弁護士費用などがかさみ、経営に悪影響を与えかねません。このようなリスクを避けるためにも、専門家に相談して適切に対応しましょう。

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原状回復工事でよくある3つの質問

原状回復工事でよくある3つの質問

最後に、原状回復工事でよくある質問について紹介します。

  • 質問1.原状回復工事の費用を削減するポイントは?
  • 質問2.原状回復工事の期間は?
  • 質問3.原状回復が借主の義務である理由は?

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

質問1.原状回復工事の費用を削減するポイントは?

原状回復工事の発注をする前に、借主が負担すべき原状回復工事の範囲を明確にしておきましょう。契約書には原状回復の範囲が記載されていますが、詳細な内容は省略される場合があります。

工事範囲の不明瞭さを避けるためには、事前に貸主と協議し、具体的な工事内容について合意を得る必要があります。また、見積書の項目と単価が適正であるかの確認も欠かせません。

質問2.原状回復工事の期間は?

事業用店舗物件の賃貸契約において、原状回復工事は一般的に契約期間内の実施が求められます。しかし、契約書に記載された解約予告期間や返還期限をよく確認しておきましょう。

物件によっては、解約予告が3か月〜6か月前に必要とされる場合があります。また、原状回復工事が完了するまでの工期は店舗の規模や内容によって異なるため、業者と工事日程の調整が大切です。

質問3.原状回復が借主の義務である理由は?

賃貸住宅では、経年劣化に関する修繕費用が賃料に含まれているため、退去時には預けた敷金が返還されます。敷引きの特約があっても、特約を超える費用の請求はありません。

これは、賃貸契約の際に家主が修繕費用を見込んで家賃を設定しているためです。さらに、住居内での無断改装が禁止されているのも、同様の理由となります。

一方、商業用物件では、業態によりさまざまな内装工事が必要な場合があるため、原状回復の費用が借主負担となるのが一般的です。

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まとめ

まとめ

本記事では、店舗における原状回復工事の特徴や費用相場、トラブルを防ぐためのコツをご紹介しました。

店舗の原状回復工事は、退去時に物件を元の状態に戻すためのもので、壁紙や床の修繕、設備の撤去、内部の解体や撤去などが含まれます。しかし、居抜き物件では一部の原状回復が免除される場合があり、一般的な原状回復よりも費用が抑えられるのが特徴です。

また、原状回復工事の費用は、業種や入居先によっても異なり、焼肉店や中華料理店などの重飲食店や大手系列の商業施設に入居している場合、費用が高くなる傾向にあります。さらに、B工事区分の設備変更もコストを押し上げる要因です。

なお、貸主と借主間のトラブルとしては、原状回復義務の範囲や費用の不一致があげられます。これらを防ぐためには、賃貸借契約書や特約において責任範囲を明確にしたり、専門家に相談したりするのが効果的です。

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